デザインに疲れたときに読みたい『安西水丸 おもしろ美術一年生』

 

『アイデア』とは、『絵を描くこと』とはなにか。

それをやんわりを語りかけてくれる

『安西水丸 おもしろ美術一年生』(coyote)という一冊の本がある。

 

デザイナーにも効くくすり

イラストレーターに向けた本のようではあるが、なにがなにが。これは、世の中にあるクリエイティブを生業とする人すべての教科書と言えるのではないだろうか。誤解を恐れずに言えば、育児に専念する母親が読んでも納得いく内容かとすら。

本文中の『絵』、『イラスト』といった言葉をすべて自分の仕事に置き換えてみればわかると思う。

たとえばぼくらデザイナーなら『デザイン』に置き換えてみると、それはもうスーッと腹に落ちていくのではないだろうか。

イラストレーターもデザイナーも、昔懐かしいお菓子のようなこのおくすりが、からだにすっと溶け込み、肩の力を抜いておのおののクリエイティブに向き合うことができると思う。

 

具体的な手法ではなく勇気づけ

ひとつだけ言っておくと、この本は具体的に技術を学べる本ではない。この点はこの『ふじぴーブログ』に通ずるものがある。手取り足取り教えてくれるように実践的にデザインの技術を磨きたければ、ネットで情報があふれているこの時代、いろんな場所にサンプルが落ちているのでそちらを参考にしていただければよろしいかと思う。

水丸先生の言葉を一部分お借りしたい。

例えば桜を描いた子供に、先生が「桜はそんな色じゃないだろう」と言ったとすると、言われた子供はそれでもう絵を描くのが嫌になって、さらにそれがトラウマになって、オーバーに言えばそれを引きずってしまう。そういう人をぼくはたくさん見ています。絵は上手い下手より、その人にしか描けない魅力のある絵があるはずなんですよね

ふじぴーも、こういった、いわゆる古い美術教育にあるような、個性をつぶすような固定観念を押しつける教育には疑問をいだいている。そんなことはしたくないのだ。

そんな教育めいたことよりも、最初に絵を描いたときの楽しさであったり、ステキなデザインに出会って自分もやってみたい!と感動したときの気持ちを大切にして、もっとデザインってのびのびと楽しんでいいものなんだよと、身を軽くしてあげられる“気づき”や“勇気づけ”が、このサイトで渡せることができたら、と思っている。

 

苦労の見えるデザインは選ばれない

なにを、どうデザインすれば、その商品やサービスのいいところをしっかりビジュアル化してあげられて、機能する広告に成り得るのだろう。正解はなんだろう。自分の表現したいことはあれとこれとそれと。。。あれ、ゴールはどこだろう。。。

デザインがまとまらない、広告として機能するものになっていない、何案持って行ってもクライアントさんが首を縦に振らない。そういうときは、荷物を背負いすぎているときが多いのだと思う。また、そんな苦労の見えるデザインなんて選ばれるわけがない。

山なのか海なのか、ジャングルなのか宇宙なのか。いったいどこに向かったらいいのかわからないのであれもこれも荷物を背負いすぎてしまうのだ。

そんなとき水丸先生は、荷物をおろす、または捨てる勇気をくれることだろう。

 

ちがう初心に帰られる

『安西水丸 おもしろ美術一年生』では終始「自由でいい」ということを教えてくれている。でもそんなお釈迦様のような水丸先生でも、「いざとなるとどんな絵を描いていいのかわからないことがあった」ことがあったそうだ。でもその悩みから解放されたのは、あの、ミッフィーの作者ディック・ブルーナの絵に出会ったときからだそうだ。

「なんとなく気持ちが迷ったときに見ると、すっともとの自分にもどれる不思議な力を持っている」と。

まさに、ぼくにとっての水丸先生の絵のようだ。

前にも、初心にもどれる本を紹介したことがある。

『Savignac』が教えてくれたデザインコミュニケーション

2017.11.21

でもそれとはまた違う初心だ。

サヴィニャックの絵がデザイナーになりたいと思ったときのマインドを思い出させてくれるのに対して、水丸先生の絵は、絵とデザインの組み合わせの妙に対する楽しさを感じていたときのことを思い出させてくれる。

 

まとめ

タイトル通り、イラストレーター安西水丸さんにガッチリフォーカスした息づかいが感じられるこの良書。過去の挿絵作品などはもちろん、絵の中に登場するモチーフたちが実際に存在しているアトリエでの写真なども見られる。

デザインのアイデア出しに苦労するデザイナーに、肩の力を抜いてデザインすることの楽しさが、おおくのイラストレーション作品とともに、のびのびと書き綴られている

ずっとワクワクしながら、一気に読み終えてしまうと思う。

読み終えたみなそれぞれ、イラストやデザインを楽しいと思えた最初の頃の気持ちにもどり、つい自然と手が動き、落書きをはじめている絵が目に浮かぶようだ。

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